繊維商社とは?仕事内容や将来性について解説
繊維商社というのを聞いたことがありますか?聞いたことがあっても実際にどんな仕事をしているのか知られていないことも多いかと思います。
今日は、繊維商社についてお伝えしていきます。
1.繊維商社とは
そもそも、商社とは戦前からある貿易業がルーツにあり、
あらゆる分野の商品やサービスを取り扱い、企業間で取引を行う流通を主とする大型卸売業を指しますが、
繊維商社とは、その中でも繊維製品やその関連素材の取引を行う企業のことで、大きく分けると2種類があります。
- 総合商社の関連子会社として専門分野特化型企業として独立した総合商社系専門商社
- メーカーから独立してそのメーカーの商品を取り扱うメーカー系専門商社
その事業内容については企業によって様々ですが、主には下記のような機能をしています。
1)原材料の調達
繊維商社は、綿、ウール、シルク、合成繊維などの原材料を世界各国から調達し、繊維メーカーや生地メーカーに供給します。
2)製品の製造
商社自体が製造を行う場合もあれば、提携する工場やメーカーに製造を委託することもあります。縫製、生地生産などの工程を管理します。
3)品質管理
調達した原材料や製造した製品の品質を管理し、取引先に対して信頼性の高い商品を提供できるよう、品質管理の一環として工場の監査や製品の検査を行います。
4)マーケティングと販売
繊維製品の市場調査やトレンド分析を行い、最適な販売戦略を策定します。国内外の市場に向けて製品を販売し、販売チャネルの拡大を図ります。
5)物流管理
原材料や製品の輸送を効率的に行うための物流管理を行います。これには、在庫管理、輸送手段(空輸や船)の選定、輸出入手続きなどが含まれます。
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アパレルメーカーと混同されがちですが、アパレルメーカーは衣料品の企画や生産を中心に行う企業のことであり、
生産された商品は販売を目的に商社へ卸されてその先に納品されることもあるため、繊維商社の方がより幅広い業務内容を行なっています。
2.繊維商社の仕事内容とは?
では、具体的に繊維商社の仕事の内容にはどんなものがあるのでしょうか?
繊維商社の仕事内容は多岐にわたり、各部門ごとに異なる役割と責任がありますが、これを
の点でお伝えしていきます。
1)製品開発
繊維商社というと、企業と企業の間に立って企業をつなぐ役割をしていくイメージが強いかもしれませんが、製品開発もしています。
昔は企業の間に立つだけでも仕事になっていましたが、最近はそれだけだと商社をスキップして直接やり取りをされることも多いのが事実です。
そのため、商社でも新しい繊維製品の企画、設計、試作を行い、市場のニーズを反映した商品を開発を行うことで、顧客の要求に応えることが求められます。
-主な業務-
- 市場調査
トレンド分析や競合製品の調査を行い、需要の高い製品や新しい市場のリサーチを行い提案を行います。
- デザイン提案
リサーチを元にデザイン案を作成し、同時に素材選定や製造方法の検討も行います。
- サンプル作成
サンプル作成をし、出来たサンプルに対して改良をします。
- コスト計算
原材料費や製造コストを元に作成したサンプルのコストを算出し、価格設定を行います。コスト効率を考慮した設計が重要になります。
- 量産化
試作したサンプルを元に製造ラインの調整や工程管理を行い、量産進行します。
2)研究開発
研究開発は、新素材や新技術の開発を通じて、製品の競争力を高めることを目指しており、製品開発で企画された製品を実際に形にする仕事です。
取引先のニーズに応えることができれば、企業の信頼度を高めることができます。
-主な業務-
- 素材開発
素材を調達して生産するだけでなく、素材の開発からできれば繊維商社としての競争力がより上がるため、
新しい繊維素材の開発や既存素材の開発、改良を行います。
- 生産の効率化
製造プロセスの効率化や新技術の導入を検討します。低コスト且つ高品質な製品が求められまるため、
これにより生産コストの削減や製品品質の向上を図ります。
- 生産背景の開拓
近年は生産コストを下げるための生産背景の開拓が多く取り組まれており、中国だけでなく東南アジアやアフリカにまで広がっています。
また、同時に企業では環境に配慮したものづくりが重要視されており、
環境に優しい素材調達や生産ラインなどサステナビリティを重視した開発が求められているため、
そのような理由でも生産背景の開拓を行なっています。
3)営業
営業は、繊維商社でなくてもある仕事ですが、顧客との関係構築を通じて繊維商社の収益を最大化する役割を担っており、
新規顧客の開拓や既存顧客のフォローが求められます。
-主な業務-
- 顧客対応
顧客のニーズを把握し、最適な製品やサービスを提案します。定期的な訪問やコミュニケーションを通じて信頼関係を構築することが重要です。
繊維商社では、国内の工場だけでなく海外の工場や企業とのやりとりも多いためスムーズにコミュニケーションを取るためには
語学力(主に英語や中国語)が必要になります。
- 営業目標を立てる
・年間
・四半期
・月間
を通しての売上目標を立て、それに向けて日々の営業活動を行います。
- 見積作成
顧客からの問い合わせに対して見積書を作成し、契約内容の調整を行います。
価格交渉や納期調整も重要な業務になります。
- 新規開拓
今ある仕事だけでは、企業の発展になりませんので、新規市場や顧客の開拓を行います。
展示会や業界イベントへの参加したり、出張を通じて情報収集を行い、新しいビジネスチャンスを探ります。
3.繊維商社の魅力について
繊維商社の仕事内容がわかったところで、繊維商社の魅力とはどんなところでしょうか?
繊維商社の魅力についてお伝えします。
グローバルな環境に身を置ける
元々、国内生産がメインの日本の繊維業ですが、30年ほど前から生産拠点は中国生産が増え、
今では東南アジアやアフリカにまで生産拠点が広がっており、遷移業界と海外は切っても切れない関係となっています。
また、ファッションのトレンドは海外から来ていることもあり、出張のチャンスも多い繊維商社もあるため、
グローバルな環境で仕事をしたい方には魅力的な環境です。
多様な製品や技術に関われる
遷移業界はトレンドも重視されるため競争が激しく常に新たな素材や商品の開発が重要です。
また、取引先の要望に合わせて背景開拓や開発が行うことも必要なため、
新しいものを開拓したり見つけたい、作り出したいという方にはとてもピッタリです。
クリエイティブな能力を発揮できる
先に伝えた、開拓をすることはもちろん、提案力も問われるのが商社の役割です。
今ある技術や生産背景を通して何ができるのか、足りないものを改善するためにはどうすべきかの戦略を練るのにはクリエイティブな能力が必要です。
また、商品デザインに関わる提案を行うためにもクリエイティブな能力が必要になります。
社会に影響を与えられる可能性がある
繊維業は、人に必要な衣食住の「衣」を司どる業界で生きていくためにはなくてはならない業界です。
そのようなアパレル製品に使われる原材料や製品の企画、生産に携わりそれを購入したり実際に着用している人たちを見ることででやりがいを感じるでしょう。
また、最近ではSNSで多くのインフルエンサーや消費者が着用画像や製品の画像をシェアしています。
それを見ることでも、世の中に影響を与えてることを実感できるでしょう。
4.繊維商社に向いている人とは?
繊維商社の魅力をお伝えしたところで、繊維商社に興味を持ってきた方も多いでしょう。
では、繊維商社に向いている人はどんな人たちなのでしょうか。
創造的な考えが湧いてくる人
生産背景やスキーム、デザイン面など様々な場面で提案力が必要になります。創造力を働かせて新しいアイディアを考えることが好きな方には向いている仕事です。
現状で満足しない人
アパレルは競争が激しい業界のため現状維持はNGで、トレンドや顧客ニーズに合わせて常に進化をしていくことが大事です。
同じような商品でも現状維持ではなく、今年よりも良い素材であったり、少しでもコストを下げる工夫を追求できるような人は向いています。
コミュニケーションが得意・好きな人
繊維商社は顧客や企業の間に入って商談・提案をして交渉をする場面が多く、製品や素材に関しての知識を元に提案や交渉ができるコミュニケーションが必要です。
また、専門知識だけでなく交渉を円滑に行うためには人としてのコミュニケーションスキルも大切ですし、
海外との取引も多いので英語や中国語などの語学力も含めてコミュニケーションが得意な人は向いています。
グローバルな視点を持っている人
繊維商社は海外との取引が多いです。
元は中国などの海外の生産拠点で生産した商品や卸で購入した商品の輸入が多かったですが、今後はきっと日本の高品質な素材や技術を活かした輸出の仕事も増えるでしょう。
そのような中で、グローバル市場を視野に入れ、グローバルな視点で見れる人はやりがいを感じます。
調べごとが好きな人
トレンドの流れが早い遷移業界では、いち早く市場や顧客のニーズに気づく能力が必要です。
そのためには、国内市場はもちろん海外市場や海外企業の情報に日頃からアンテナを張って情報収集する必要があります。
そのような情報収集が好きな方にはとても向いています。
5.繊維商社の大変なところ
とても魅力ややりがいのある繊維商社ですが大変な部分もあります。
どんなところが大変なのかお伝えをします。
市場の変動が目まぐるしい
繊維業界は、ファッションのトレンドや季節性、消費者の嗜好の変化に大きく影響されるため、市場の変動が非常に激しいです。
トレンドの予測が困難であり、世の中の流れに伴って需要が急に変動することがあります。これにより、在庫の過剰や不足が発生しやすくなります。
また、トレンドの変化に迅速に対応するためには、製品開発から販売までのリードタイムを短縮する必要があり、サプライチェーン全体の柔軟性とスピードが求められます。
原材料の価格が市場の動向によっても大きく変動するため、コスト管理が難しくなります。特に、天然繊維の価格は天候や供給量に左右されやすく、近年の円安と原材料の高騰は繊維商社にとって厳しいものとなっています。
競争が激しい
繊維業界は、多くの企業が参入しており、特に価格競争が激しい市場です。
多くの企業が同じような製品を提供しているため、独自性を持たせることが難しく、ブランド力や技術力で差別化を図る必要があります。
また、価格競争が激化する中で、利益率を維持することが難し苦なっているのも事実です。
コスト削減や効率化が求められますが、品質を落とさずに行うことが重要で、そこでも他者との差別が大事なポイントとなります。
新規企業の参入が続くため、市場シェアを維持するためにも常に競争優位性を保つための戦略が必要です。
納期の厳守が求められる
繊維業界では、シーズンごとの製品販売が一般的であり、その販売に合わせて納期を厳守することが非常に重要です。
納期を合わせるためには、サプライチェーンの各段階でスケジュールを厳守する必要がありますし、
原材料の調達、生産、輸送のすべての過程がスムーズに連携することが求められます。
しかし、近年では遅く不可能な天候や自然災害、政治的な不安定さなど、さまざまなリスクが納期に影響を与える可能性があり悩まされるポイントです。
各リスクに対するリスク管理と代替計画が必要となります。
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6.まとめ
いかがでしたか!?繊維商社には大変な点もありますが、それ以上にやりがいの方が多いです。
グローバルなお仕事や提案が好き・得意な人にはとっても魅力のある職場です。
ウィンネットでも、繊維商社で働けるチャンスを多くご用意していますので、ぜひご相談ください!