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繊維商社とは?仕事内容や将来性について解説

繊維商社とは?仕事内容や将来性について解説

繊維商社は、私たちの生活に密接に関わる業界です。
「繊維」という言葉から、アパレルやファッション業界に近しいと感じる方もいますが、実際には自動車や医療にも役立っています。

本記事では、この「繊維商社」について、仕事内容や将来性について解説します。
具体的に繊維商社について理解して、キャリアの一つとして検討してみてください。


1.繊維商社とは


繊維商社は、戦前の貿易業を起源とする商社の一種で、繊維製品や関連素材の取引を専門とする企業です。
これらの商社は、主に二つのタイプに分類されます。
一つは総合商社から独立した専門分野に特化した子会社であり、もう一つはメーカーから独立してそのメーカーの製品を扱う専門商社です。
繊維商社の事業内容は企業によって多岐にわたりますが、一般的に繊維製品や素材の流通を担う大規模な卸売業としての役割を果たしています。
繊維商社の具体的な機能や業務内容は各社によって異なりますが、原材料の調達から製品の販売まで、繊維産業のサプライチェーン全体にわたる幅広い役割を担っています。
主な役割を、以下にまとめました。


2.繊維商社の大手企業


繊維商社も、他の業種と同じように代表的な企業があります。
繊維商社の規模感を具体的に理解するためにも、いくつかの代表的な企業を知っておきましょう。
とくに有名な3つの企業について、以下の表にまとめました。

企業名 設立 従業員数 平均年収
東レインターナショナル 1986年12月20日 1,400人(2024年3月末現在) 747万円
ワールド 1959年1月13日 8,388名(2024年3月末現在) 501万円
蝶理 1948年9月2日 1,304名(2024年3月末現在) 925万円

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3.繊維商社の将来性と動向


繊維商社は長く続く企業が多いことから、安定的なイメージをもつ人もいるかもしれません。
しかし、必ずしも安定しているわけではありません。
昨今の繊維業界は大きく変化し、どちらかといえば縮小傾向にあります。
以下で、繊維業界の動向について、詳しく解説します。


1)市場規模は縮小傾向

日本の繊維業界は縮小傾向にあります。
中国や東南アジアからの安価な大量輸入が原因です。
経済産業省の報告によると、国内繊維業の製造品出荷額は1991年比で約4分の1に減少し、衣類の輸入浸透率は2018年に97.7%まで上昇しました。
中国産繊維の低価格が多くのアパレルメーカーを引き付け、日本の繊維商社は海外取引で苦戦しています。
この状況を受け、日本の繊維商社は衣料繊維以外の産業資材系繊維分野へ注力する傾向が見られます。


2)海外市場への参入

日本の繊維業界は縮小傾向にあります。
中国や東南アジアからの安価な大量輸入が原因です。
経済産業省の報告によると、国内繊維業の製造品出荷額は1991年比で約4分の1に減少し、衣類の輸入浸透率は2018年に97.7%まで上昇しました。
中国産繊維の低価格が多くのアパレルメーカーを引き付け、日本の繊維商社は海外取引で苦戦しています。
この状況を受け、日本の繊維商社は衣料繊維以外の産業資材系繊維分野へ注力する傾向が見られます。


3)M&Aの増加

日本の繊維商社は、M&A戦略を通じて事業の多角化と国際競争力の強化を図っています。
国内市場の縮小と海外競争の激化に対応するための重要な施策です。
繊維商社が存続し成長するためには、海外でも通用する基盤作りや衣料繊維以外の分野の強化が不可欠です。
そのため、多くの企業がM&Aを活用し、異なる得意分野や技術を組み合わせて新たな価値創造を目指しています。


4)環境問題への取り組み

繊維業界は環境問題への取り組みを強化しています。
持続可能な社会の実現に向けた世界的な潮流に対応するためです。
従来の「大量生産、大量消費」を基盤とした直線型経済から、製品や資源を循環させる循環型経済へのシフトが必要とされています。


4.繊維商社で扱う素材


繊維商社といっても、扱う繊維は一つではありません。
大きく分けると、以下の2つに分けられます。

繊維商社を目指すうえで、それぞれの繊維についての理解は必要不可欠です。
以下でそれぞれの繊維について解説していきます。


1)化学繊維

化学繊維は、衣類から産業資材まで幅広く活用されています。
化学繊維は無機質繊維と有機質繊維に大別され、以下のような形に加工されます。


2)天然繊維

天然繊維は、人工的に作られていない素材全般を指し、植物由来の木綿や麻、動物由来の獣毛や絹などが含まれます。
これらの繊維は、肌触りの良さ、高い吸水性、摩擦耐性などの特徴を持ち、主に洋服や下着などの衣類に広く利用されています。


5.繊維商社の業務内容


繊維商社の業務内容は、主に5つに分けられます。
以下に業務内容をまとめましたので、参考にしてください。

企業によって異なりますが、基本的な業務は上記になります。


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6.繊維商社の職種


繊維商社の職種は、主に以下の3つに分けられます。

それぞれの業務内容について、以下で解説します。


1)製品開発

製品開発では、OEMやODMといった取引先の商品開発から自社商品の開発まで、幅広い形態で関わります。
繊維のプロとしての専門性を活かし、メーカーと連携して新商品開発を行うことも多くあります。
主な業務は、以下のとおりです。


2)研究開発

研究開発は、製品開発で企画された製品を実際に形にする仕事です。
新素材や新技術の開発を通じて、製品の競争力を高めることを目指します。
主な業務は、以下のとおりです。


3)営業

営業は、繊維商社でなくてもある仕事です。
顧客との関係構築を通じて繊維商社の収益を最大化する役割を担います。
主な仕事は、以下のとおりです。


7.繊維商社の魅力とやりがい


繊維商社の魅力とやりがいは大きいです。
専門性を問われる業種ではありますが、その分、規模感の大きい仕事に携われます。
以下で紹介する魅力に強い興味を持てる人であれば、繊維商社が向いているかもしれません。


1)グローバルな環境に身を置ける

繊維業界は、グローバルな事業展開を加速させています。
生産コストの最適化と国際的なトレンドへの対応が主な理由です。
約30年前から、日本の繊維生産拠点は国内から中国へ、そして現在では東南アジアやアフリカにまで拡大しています。
この国際的な生産ネットワークにより、繊維業界と海外は密接な関係を築いています。
同時に、ファッショントレンドの多くが海外発であることから、繊維商社では海外出張の機会も多くなっています。
そのため、グローバルな環境で働きたい人にとって魅力的な選択となるでしょう。


2)多様な製品や技術に関われる

繊維業界は、常に新しい素材や商品の開発に取り組んでいます。
トレンドの変化が激しく、競争が激しい業界であるためです。
例えば、環境に優しい素材の開発や、機能性を高めた新商品の創出などが行われています。
そのため、革新的なアイデアを持ち、新しいものを作り出すことに情熱を持つ人々にとって、理想的な環境といえます。


3)クリエイティブな能力を発揮できる

繊維商社では、クリエイティブな能力を発揮できます。
市場ニーズに応える革新的な提案が求められるためです。
例えば、環境に配慮した新素材の提案や、効率的な生産プロセスの設計など、創造的なアプローチが求められます。
また、商品デザインの提案においても、トレンドを読み取り、独自の価値を付加する能力が不可欠です。
クリエイティブな才能を持つ人材にとって、その能力を最大限に発揮できる魅力的な職場となるでしょう。


4)社会に影響を与えられる可能性がある

繊維業界は、社会に大きな影響を与える可能性を持っています。
「衣」という人間の基本的なニーズに直接関わる産業だからです。
繊維業界で働くことは、アパレル製品の原材料から企画、生産まで幅広いプロセスに携わることを意味します。
例えば、自社が関わった製品が街で着用されているのを見たり、SNSでシェアされているのを目にすることで、自分の仕事の社会的影響力を実感できます。


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8.繊維商社に向いている人はどんな人?


繊維商社にも適材な人材がいます。
一般的なアパレル業と呼ばれる販売員よりも専門性やクリエイティブな能力が求められるため「好き」という理由だけでは繊維商社を目指すのは難しいです。
では、どのような人が向いているのか、以下で解説します。

1)創造的な考えが湧いてくる人

繊維業界は、創造的な思考を持つ人材に適しています。
業界の特性上、常に新しいアイデアや提案が求められるためです。
生産背景、ビジネススキーム、デザインなど、様々な場面で創造的な提案力が必要とされます。


2)現状で満足しない人

繊維業界は、常に進化を求める人に適しています。
現状維持では生き残れない繊維業界では、トレンドや顧客ニーズの変化に迅速に対応する必要があります。
環境に配慮した新素材の開発や、生産プロセスの効率化、デザインの革新など、あらゆる面で継続的な改善が必要です。


3)コミュニケーションが得意・好きな人

繊維商社では、コミュニケーション能力が極めて重要です。
顧客や企業間の仲介役として、商談や提案、交渉を行う機会が多いためです。
製品や素材に関する専門知識を基に、効果的な提案や交渉を行う能力が求められます。
例えば、新素材の特性を説明し、その利点を顧客に伝える際には、技術的な知識とコミュニケーションスキルの両方が必要です。
そのため、繊維商社は、コミュニケーションが得意で、人との交流を楽しむことができる人に向いています。


4)グローバルな視点を持っている人

繊維商社では、グローバルな視点を持つ人が活躍しています。
とくに今後は、日本の高品質な素材や技術を活かした輸出ビジネスの拡大が予想されています。
このような環境下では、グローバル市場を広く見渡し、国際的な視点で事業を展開できる人材が求められています。


5)調べることが好き

繊維業界では、情報収集能力が必要です。
トレンドの変化が速く、市場や顧客のニーズを素早く把握する必要があるためです。
具体的には、国内外の市場動向や企業情報に常にアンテナを張り、迅速に情報を収集・分析する能力が求められます。
海外のファッションショーの動向や、新素材の開発状況、競合他社の戦略などを常に追跡し、自社の戦略に活かす能力が必要です。


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9.繊維商社の大変さ


繊維商社は、やりがいや魅力がある一方で、大変な部分もあります。
決して安定的かつマイペースに働ける業界ではありません。
以下の特徴も踏まえて、繊維商社を目指すかどうかを検討しましょう。

1)市場の変動が目まぐるしい

繊維業界は、市場の変動が極めて激しい特徴を持っています。
ファッショントレンド、季節性、消費者嗜好の急速な変化がある業界です。
例えば、突然のトレンド変化により、特定の商品の需要が急増または急減することがあります。
これに対応するため、企業はサプライチェーン全体の柔軟性とスピードを向上させなければなりません。
さらに、原材料価格の変動も大きな問題です。
特に天然繊維は天候や供給量に影響されやすく、近年の円安と原材料高騰は業界に大きな打撃を与えています。
このような変動が多いため、常に適応し、迅速な意思決定が求められます。


2)競争が激しい

繊維業界は、非常に競争が激しい市場環境にあります。
多数の企業が参入し、類似した製品を提供しているためです。
この激しい競争の中で、企業は独自性を確立し、競争優位性を保つ必要があります。
また、価格競争が激化する中で、利益率を維持するためのコスト削減や効率化も不可欠です。
同時に、品質を維持しながらコストを削減する生産技術の開発も重要です。


3)納期の厳守が求められる

繊維業界では、納期の厳守が重要です。
シーズン性の高い製品販売が一般的であり、適切なタイミングでの市場投入が不可欠だからです。
納期を守るためには、サプライチェーン全体の厳密なスケジュール管理と各段階の連携が求められます。
しかし、予期せぬ天候変化や自然災害、政治的不安定さなど、様々なリスクが納期に影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対処するため、綿密なリスク管理と代替計画の策定が必要となります。


10.繊維商社を目指すうえで役立つ資格


前提として、繊維商社へ入社するために資格は必須ではありません。
しかし、持っておくと有利になる資格はあります。
繊維商社の特徴を理解したうえで就職先・転職先として検討するのであれば、以下の資格を取得しておくと良いでしょう。


1)ファッションビジネス能力検定

ファッションビジネス能力検定は、ファッション業界で必要とされる幅広い知識と実践的なスキルを評価する検定です。
ファッション商品の企画、生産、流通に関わる知識を網羅しています。
2級と3級では「ファッションビジネス知識」と「ファッション造形知識」が試験科目となっており、合格基準は各科目60%以上の得点です。
1級では、マーケティング戦略や流通戦略など、より高度で実践的なビジネス知識が求められます。
アパレル営業や企画職を目指す人にとって、業界で必要とされる総合的なスキルを証明する重要な資格です。


2)繊維製品品質管理士(TES)試験

繊維製品品質管理士(TES)資格は、繊維製品の品質管理に必要な専門知識と実践力を証明する資格です。
主に繊維商社の営業職が取得を目指しており、取引先との信頼関係構築に大きく関わります。
例えば、技術や品質面での安心感を提供し、商談や交渉をスムーズに進行させる上で役立ちます。
特にアパレル営業と品質管理部門で高く評価される資格です。


3)CAD利用技術者試験

アパレルやインテリア分野でCADスキルの重要性が高まっている昨今では、CAD利用技術者試験はとても有利な資格です。
試験では、CADを効率的に使用するための知識と技能を証明します。
繊維商社を目指す場合、特に2次元CAD技術者試験が推奨されます。
未経験者や実務経験の少ない方でも、この資格があれば強力なアピールポイントとなるので、取得しておいて損はありません。


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11.まとめ

いかがでしたか!?繊維商社には大変な点もありますが、それ以上にやりがいの方が多いです。
グローバルなお仕事や提案が好き・得意な人にはとっても魅力のある職場です。
ウィンネットでも、繊維商社で働けるチャンスを多くご用意していますので、ぜひご相談ください!