投稿日:2019年1月30日 | 最終更新日:2024年1月11日
【繊維・アパレル業界の川上・川中・川下とは】
昔から日本では、洋服出来上がり、販売するまでに多くの企業や人が関わり、長い工程を辿ることから、その流れを“川”に例えることがあり、「川上」「川中」「川下」の三つの段階で現されています。
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川上とは
「川上」は、糸や生地などの素材を製造する業種または業務のことです。
原糸メーカー(商社)、繊維メーカー(商社)、テキスタイルメーカー(商社)、が「川上」にあたります。自社で洋服の販売を行うことはあまり多くなく、BtoBのビジネスがほとんどで、糸や生地などの洋服の原料となる一次製品を作り、アパレルメーカーやデザイン会社、OEM会社へ生地を売ることがメインです。
繊維メーカーの役割は、国内外から原料や生地、そして製品を調達することですので、必然的に「商社」としての機能、つまり、調達したものをメーカーや小売に卸したり、その過程をスムーズに流すための仲介の役割を担うことがよくあります。
繊維商社の中には自社ブランドを持つ企業や、OEM・ODM生産を行っている企業もよく見られ、こういった企業が「川上」と「川中」をつなぐ役割を担っています。
川中とは
「川中」は、「川上」で作られた糸、生地などの素材を使って、商品を企画・デザイン・製造する業種または業務のことです。
アパレルメーカー、デザイナーズブランドなどがそれにあたります。以前は商品を小売(販売)する直営店はあまり持たず、小売(販売)は百貨店や専門店、セレクトショップに任せたりすることが多かったのですが、最近では、自社店舗を持ったり、ECサイトを運営して販売している業者が増えています。
近年は「SPA」という形態をとり、今まで難しかった消費者のニーズをすばやく、的確に商品企画に反映できるようにする企業が増えてきました。単に小売に商品を卸すだけだと、消費者のニーズが分かりづらかったのが、店舗を持ち市場と直接繋がることで消費者のニーズを捉えることができるようになってきています。
また、アパレルメーカーの中には、外部の工場や商社、OEM、ODM会社など「川上」の企業に生産を委託する事が多かったのですが、最近はアパレルメーカーが直接海外の工場に発注する「直貿」(直接貿易)をしている企業も増えています。
川下とは
「川下」は、「川上」や「川中」で製造され、製品になった商品を最終的に消費者に対して販売する小売のことです。
外部メーカーの商品を仕入れて販売するセレクトショップや、百貨店などが当てはまります。
最近では、仕入れた商品の販売だけ行なっているところだけでなく、自社企画の製品を販売する店もあります。
近年では、「川上」、「川中」、「川下」の垣根を無くした「SPA」“Specialty store retailer of Private label Apparel”という業態が出てきています。
「川上」、「川中」が行っている企画・製造から、川下が行っている小売、販売までを一貫して行う業態です。売れ・死に筋商品、店舗から最新の市場ニーズ、最新の流行などの現実的な情報を、社内で迅速に共有することができるので、商品企画にも反映されやすくなっています。
日本では、「ファストファッション」の多くがSPAの形態をとっています。流行のアイテムを低価格で手頃に提供すべく、店頭の情報をすばやく社内共有し、企画に反映させて新しい商品の開発、製造、販売を行えるようにしています。